生きることは食べること
自分の好きなこと(取材・旅・研究)を進めていく土台になるのが日常であり、ライフスタイルは日常と非日常の往復のなかでつむぎ出されます。
日常のなかで最も大事なのは、おそらく食でしょう。何を食べるかはどう生きるかに直結しているため、ここをおろそかにすると非日常を楽しむ前提が崩れてしまいます。
皆さんは何を食べ、それをどう消化しながら生きていますか?
自分の好きなことばかり追いかけて、身体の声を聞くことを忘れていませんか? 身体の声を聞く大前提になる知識、情報をちゃんと手に入れていますか?
僕たちの身体は、年齢や境遇に関わりなくたえず変化していけます。
変化することのなかに真実があります。変化しないものはこの世界にはなく、石ですら、土粒ですら、その法則のなかで存在しています。
変化しているものが生命です。その生命の声に耳をすませること。豊かさを感じること。それが感じられる自己であること。
コンディショニングは健康のためではなく、「この世界で楽しく生きるための条件作り」だと僕は思っています。この条件を満たすために世界の成り立ちを知り、世界の縮図である身体、そして細胞という自己の最小単位と出会う。
僕にとってはそうしたつながりを知ることが「取材」であり、「研究」でもあり、それを伝える媒体となるのがメディアです。
ライフスタイルの核にある食を、どう整えたらいいか? そのコツをつかんでいく過程で、並行して意識してきたのが自己を取り巻く空間との関わり、磨いてきたのが身体感覚です。
「食ー空間ー身体感覚」……それぞれのエッセンスについて紹介しましょう。
食
大事なのは、腸ー細胞ーミトコンドリア、身体のそれぞれの層を総合的に元気にさせる発想を持つということ。食はその基礎となるものです。栄養学、医学、生物学の知識をつなぎあわせながら、代謝を整え、生命力を高める食養の知恵を身につけていきましょう。
空間
体内の空間(腸、細胞)だけでなく、自己を取り巻く外部の空間も、心身の健康に大きく影響します。どんな《場》でどう過ごすか? 人間関係、仕事のあり方、そして住空間……自律神経との関わりから日常ー非日常のバランスを整え、心地よさを体感していくことが大切になります。
身体感覚
日常の立ち居振る舞いを含めた身体の使い方もまた、心身の健康を保つための重要なエッセンスになります。身体感覚を磨くためのベースになる「脱力」「上虚下実」「グラウンディング」「丹田」などの大切さを、武術、ボディーワークなどを通し体感していきます。
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脳は《私》という存在を閉じ込めている檻のようなもの。
そこには寂しさ、悩み、葛藤がどうしてもつきまといます。
そうした不自由な世界から抜け出すには、
生物としての感覚が眠っている腸(ハラ)をクリーニングし、活性化させていくこと、
そして直感をキャッチしやすい状態にさせていくことが早道です。
「生物の自分」とつながることは心の安らぎにつながり、生きる自信の源になります。
(『腸脳力』より)