頑張らないコンディショニング

はじめに 「生き物としての自分」を思い出す旅へ

この本では、「コンディションを整えていくことで感覚を磨き、
生きる自信を取り戻す」ことを目指しています。

ただ自信と言っても、そこまで力強いものじゃありません。

たとえば、何かの拍子に肩の力が抜け、
ふっと気持ちがラクになったことはありませんか?
目の前の現実は変わっていないのに、視野が広がり、
「大丈夫、やっていける」とほのかな自信が湧いてくるような……。

どんなにすぐれた理論、信頼できるデータを集めても、
最後の最後で頼りになるのは自分自身の感覚です。

それは、どうしたら磨いていけるのか?

まず 大事なのは自分の体に目を向けること。
人の体には、こうした感覚を生み出す様々な仕組みが宿っています。

その働きを感じ、身をゆだねることができたら、
実際、生きることはもっとラクになります。
根拠のない自信にちょっとした根拠(確信)が生まれ、
いまより能力も発揮しやすくなるでしょう。
できればその場所まで皆さんを誘おうと思っています。

こうした話がイメージしにくいという人は、
ふっと力が抜けた時とは逆の状態を思い浮かべてみてください。
それは、思わず力んで頑張ってしまう状態。
頑張ることはいいことだと思われがちですが、
頑張ってばかりいると心に余裕がなくなり、まわりの景色が見えなくなります。
視野が狭くなり、自己と他者の間に見えない壁ができあがってしまう……。

この壁の向こうには、当たり前のように世界が広がっています。
それは、自然と呼んだほうがいいかもしれません。
普段あまり自覚できませんが、
人は日常の中でごく当たり前に自然とつながって生きています。
その大事な一つが食べるということです。

何をどう食べたら元気になれるのか? 感覚がよみがえるのか?

もしいま元気が出せず、自分にあまり自信が持てていないのなら、
食べることを見直すことから始めていきませんか?
自分は元気だと思っている人も同様です。

体を内側から整えていくと徐々に余裕が生まれ、
自分がいろいろなものに守られていることが見えてきます。
生物学では、それを微生物とか、植物、鉱物などと呼んでいます。

食べるということは、

「他の生き物の力を借りてコンディションを整え、心と体の健康を養う」

ということ。

残念ながら、ただ栄養学の知識を身につけるだけでは、
こうした自然とのリアルなつながりまで目が向きません。
それではもったいないので、視野を広げ、
ヒトという生き物の働きにフォーカスしていきましょう。

ヒトの体には、まだまだとてつもないポテンシャルが眠っています。
このポテンシャルを掘り起こすのがコンディショニングです。
それは頑張ることではなく、努力しないこと、
守ってくれているものにゆだねることで少しずつ身についていきます。

この本では、「こんなものを食べたほうがいい」とか「食べないほうがいい」とか、
いろいろなことをすすめていきますが、
あまり真面目に考えすぎず、ふわっと意味をつかんでください。

大事なのは、知識や情報を増やすことではなく、感覚を磨くこと。

これまでの発想をひっくり返し、頑張らない、
努力をしない方向にマインドをセットしていきましょう。
そうすれば、体が内側から動きはじめ、
体調が良くなるのはもちろん、直感力が高まっていきます。

自分の進む方向性も自然と見えてくるでしょう。
不思議な話に思えるかもしれませんが、本来、生き物とはそういうものだからです。
その世界を知ることが旅の目的なのです。

本という地図を片手に、これからゆっくりご案内しましょう。

(「はじめに」より)

 

 


目次

はじめに 「生き物としての自分」を思い出す旅へ

第1章 「心地よさ」を基準にしよう
「どんな状態で過ごしたいか?」をイメージする
食事法で成功する人・しない人の差はどこにある?
うまくいっている人に共通しているものは何だろう?
「ストイック」をいったん保留にしよう
「心地よさ」と「快楽」はここが違う
いちばん怖いのは、感情が劣化してしまうこと
「心地よさ」はあらゆる生き物の行動原理
心地よさに近づいていくためのコンディショニング

第2章 すべては腸から始まる
お通じの状態が「自分を知る」手がかりになる
お腹がチクチクする時はメンタルが低下している
食べることは「腸内細菌とエサを分かち合う」こと
「エゴイスティックな食事」が腸を腐敗させる?
「小麦粉+砂糖の摂りすぎ」を疑ってみる
食べ物を悪者にせず、あくまで「体に聞く
「甘いもの中毒」がメンタルを不安定にさせる
「脳の食事」と「腸の食事」を見分けよう
「腸を元気にする」の5つのポイント
健康食品・サプリメントはまず「これ」を選ぼう
「体にいい・悪い」の答えを求めすぎない
「優しくなる」ことが腸を元気にする秘訣
腸が元気になると心と体が元気になる!

第3章 ファスティングで五感を取り戻す
腸が動くことで「快・不快」が生まれる
「しっかり出す」ことで感情は癒される
「食べない時間」をつくることから始めよう
体にたまった「ゴミ」をリセットする
あなたの腸はクタクタに疲れ切っている
ダイエットより大事な「腸のデトックス」
「いい水を補給する」こともデトックスの一部
「質のいい水」が「元気な体」をつくる
「たっぷり水を摂ること」はどこまで必要か?
「一日2〜3回のお通じ」が当たり前の理由
味覚が変わり、においに敏感になる
「脳疲労」から解放させる心地よい食べ方
あえてブレーキを外し、五感を取り戻す

第4章 感情解放のためのデトックス
腸デトックスで心と体を大掃除しよう
「腸のデトックス」と「脳のデトックス」を融合すると
不良品のタンパク質をリサイクルする
「非日常の空間」が病気の治癒につながる
これまでの思考・行動パターンをリセットする
ハワイで体験した究極の「腸内クレンジング」
理性を外し、「自然」にすべてをゆだねてみる
「片付け」の原点は腸のデトックスにあり
自己を取り巻く環境のどこが詰まっているか?

第5章 植物の生命力をチャージする
「ゼロ」意識するのがコンディショニング
植物が心と体を癒してくれる理由
ストレスケア=抗酸化の大事なポイント
ゆったりした気持ちで少しずつ質を上げていく
ストレスによって炎症が慢性化する
ストレス=炎症のレベルをチェックする方法
血糖値も「炎症」のレベルを知るバロメーター
食の安全にこだわるほど「頭でっかち」になる
抗酸化力を高める「食べ物」と「食べ方」
植物油が炎症を助長させてしまう
ストレスと食べ物の関係をもう一度見直そう
ニコニコする機会を増やしていくには

第6章 ミトコンドリアの生命論
植物の次は鉱物(ミネラル)を味方につけよう
生物は酸素をエネルギーに変えて進化してきた
「簡単に死ねなくなった時代」に問われるもの
体を「元素」というブロックに分解してみる
生命活動はミネラルによって活性化する
元気になれない根本原因は「土壌」にある
食べ物のミネラルが「4分の1」に減った理由
海のミネラル「塩」が生命を育ててきた
多様なミネラルを総合的に補給する
ミネラルの「慢性欠乏」は数値化もできる
「水素」はミトコンドリア活性の重要なカギ
やる気が出ない原因はビタミン・ミネラル欠乏
好きなものを食べるためには「条件」がある
事実の向こうの「意味」を知ることが大事
お腹を温めるとミトコンドリアが元気になる

第7章 自然とつながる生き方
自然とつながり、心と体の調和レベルを上げよう
食べ物の「質」は食べた人に反映される
うまくいっている人がエネルギッシュな理由
「これがいい」という目利き力を身につける
自然のリズムと体のリズムを重ね合わせる
忙しさの中でこそ「ゆとり」は養われる
「体のリズム」と「歴史の流れ」を調和させよう
見えない菌たちがたえず免疫を刺激している
食べ物を育んできた風土に元気の秘密がある
エコロジーの中心は「人間関係」にある
悪いものをすべて排除する必要はない
「全体の2割」が変わるだけで発酵は始まる
この世界はコミュニケーションで成り立っている

第8章 身体感覚で人生が変わる
「感覚」と「観念」の違いを理解しよう
「多くの人と共有できる感覚」を磨いていくには
無駄な力を抜き、下半身を安定させる
「体の中心」と「心の中心」を一つにする
「頭で考える」よりも「ハラで感じる」
体の中心にある「仙骨」を行為の起点にする
脳が認識する前に「直感」は生まれる
「腑に落ちる」と「解放感」と「悟り」が得られる
「感情」と「本能」が直感を見失わせる
分厚い雲の向こうにも必ず「太陽」はある
「知・情・意」で心身のバランスを整える
「ゾーン=自分らしくいられる状態」をつくるには
いかに頑張るかではなく、いかに頑張らないか

おわりに 「人生の3割バッター」を目指して
注釈・参考文献

 

*ようやく完成しました! 公式サイトをオープンさせ、まずテスト販売をスタートさせる予定です。お楽しみに!


参考文献

第1章
・土橋重隆・玄侑宗久『死と闘わない生き方』(ディスカバー・トウエンティワン 2015年)

第2章
・砂沢佚枝『コワいほどくびれる! 腸もみダイエット』(マキノ出版 2009年)、『完全版・腸もみバイブル』(扶桑社 2010年)ほか
・光岡知足『人の健康は腸内細菌で決まる〜善玉菌と悪玉菌を科学する』(技術評論社 2011年)、『大切なことはすべて腸内細菌から学んできた』(ハンカチーフ・ブックス 2015年)ほか
・近藤和雄『人のアブラはなぜ嫌われるのか〜脂質「コレステロール・中性脂肪など」の正しい科学』(技術評論社 2015年)
・上野川修一インタビュー「腸内細菌との『共生』を視野に入れた食のあり方が、これから問われてくるでしょう」(インターネット「Bio&Anthropos」所収 2017年)

第3章
・西原克成『内臓が生み出すこころ』(日本放送出版協会 2002年)
・藤野武彦『BOOCSダイエット』(朝日新聞社 2005年)*BOOCSとは、Brain Oriented Oneself Control System(脳を目指した自己調整システム)の略称。

第4章
・水島昇『細胞が自分を食べる オートファジーの謎』(PHP研究所 2011年)
・福井康之『「神の手」の外科医が明言! 今急増の心因性腰痛は手術ではなく、理詰めとマイナス思考を転換することが改善の第一歩』(芸文社「はつらつ元気」2010年4月号所収)
・土橋重隆『50歳を超えてもガンにならない生き方』(講談社 2012年)

第5章
・佐古田三郎『佐古田式養生で120歳まで生きる する・しない健康法』(実業之日本社 2017年)
・村上正晃インタビュー「『炎症回路』の活性化が多くの病気の発症につながっています」(インターネット「Bio&Anthropos」所収 2017年)
・安保徹『人が病気になるたった2つの原因〜低酸素・低体温の体質を変えて健康長寿!』(講談社 2010年)

第6章
・長沼敬憲『ミトコンドリア「腸」健康法』(日貿出版社 2017年)
・養老孟司「『生きるためのあがき』の中で」(池田清彦監修・技術評論社刊『人の死なない世は極楽か地獄か』所収 2011年)
・太田成男『ここまでわかった 水素水最新 Q&A 〜続・水素水とサビない身体』(小学館 2017年)
・松村卓『ゆるめる力 骨ストレッチ』(文藝春秋 2015年)、『人生を変える! 骨ストレッチ』(ダイヤモンド社 2016年)など

第7章
・水野南北(著)・玉井礼一郎(訳)『食は運命を左右する〜現代語訳「相法極意修身録」』(たまいらぼ 1995年)
・栗本慎一郎(編)『経済人類学を学ぶ』(有斐閣 1995年)*第8章「マイケル・ポランニーの生命論 非生命から生命、精神、そしてさらなる階層へ」を参照。
・長沼敬憲『最新科学でわかった! 最強の24時間』(ダイヤモンド社 2017年)
・審良静男・黒崎知博『新しい免疫入門〜自然免疫から自然炎症まで』(講談社 2014年)
・光岡知足インタビュー「全体の『2割』が変わるだけで調和が訪れます」(インターネット「Bio&Anthropos」所収 2015年)

第8章
斎藤孝『身体感覚を取り戻す〜腰・ハラ文化の再生』(日本放送出版協会 2000年)