細胞そのものを元気にしたほうがいいのかも。〜本庶佑先生のノーベル賞受賞に寄せて

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おはようございます。いろいろ報道されていますが、本庶佑先生がノーベル医学・生理学賞を受賞しました。

免疫の取材をするようになってから、本庶先生の名前にふれる機会は幾度となくあったので、取材していたらよかったかなとちょっと思いました。笑。
もともとこの分野のビックネームのお一人でしたが、ますます遠い存在になった気がします。

ともあれ、免疫の分野はこの10〜20年ほどのスパンのなかで、かなりドラスティックに変化しています。
そのなかに本庶先生の携わったPD-1(免疫細胞の暴走を防ぐブレーキ機能)の発見もあるのだと思いますが、より俯瞰した流れのなかでは、「免疫療法ってそもそもどうなのよ?」という感もなくもありません。

免疫療法も様々なアプローチがあるので、ざっくり語るのには無理がありますが。。。たとえばノーベル賞に限りなく近かったところでは、大阪大の審良静男先生の自然免疫に関する研究があります。

わかりやすく言えば、体じゅうのあらゆる細胞には古い時代から引き継いだ免疫機能=自然免疫が備わっており、体に侵入してくる異物を10ほどの受容体でパターン認識し、排除しているというものです。

つまり、白血球(T細胞)が動き出す以前に、個々の細胞レベルで体は反応しているわけです。
まあ、白血球も細胞なのでこうした働きが備わっているわけですが、ここで注目したいのは細胞そのものの働きです。

「NK細胞がどうとか、抗体がどうというより、細胞が元気だったら自然免疫が働くわけですよね? そうなれば、そもそも病気にかかりにくくなるわけで。。。」

この分野に詳しい人とこんなやりとりをしたことがありますが、細胞の元気は、エネルギーを作り出すミトコンドリアの活性化がカギになります。
ミトコンドリアは食べ物に含まれる栄養素と呼吸から得た酸素からエネルギー(ATP)をつくっているので、単純に言えば、食事と呼吸が大事という話になります。

「そうか、薬よりも食事や呼吸が大事なのか!」と思ったかもしれませんが、ここにはストレスも関わってきます。

北海道大の村上正晃先生に取材するなかで、免疫はストレス自体に反応し、炎症を起こすことがわかりました。菌やウイルス、がん細胞だけを攻撃しているわけではなく、自分自身が作り出した心配事、悩み、怒りなどにも炎症反応を起こし、病気の発症につながっていくわけです。

だとしたら、食事や呼吸の方法ではなく、「どんな状態で食べ、呼吸をするか?」、さらに言えば「どこで誰と、どんなふうに生きるのか?」……自己と他者、意識や空間との関わりが大事であることが見えてきます。

現代医療であろうが、代替療法、統合医療であろうが、ある治療法、食事法、健康法で病気が治ったり、健康になったりするわけではないということです。
それらはトリガー(引き金)であって、大事なのは「それによってどんな状態に変化するか?」という結果の部分でしょう。

状態はモノだけではつくりだせません。土橋塾などでもさんざん勉強してきたように、そこには意識が深く関与してきますが、意識は理性でコントロールできません。意識の変化が大事だと言ったところで、それは「図らずも変化するもの」「おのずから変わっていくもの」でしょう。

おのずから変わっていくような状況に身を置いていくには、「こうしたら病気が治る」という発想そのものから離れたほうがいいのかもしれません。
病気の治し方を追求し、創薬に結びつけるいまの医療のフォーマット自体を見直さないと、人が元気に生きることへのアプローチにつながらない気がします。
現代医療がだめなのではなく、もっとベースにある思考パターン、行動パターンに不調和を起こすキーがあると思うのです。

このあたりの意識のパラダイムシフトは、僕の感覚では、すでにあちこちで発火しはじめています。人の意識を揺さぶっていく大きな革命が、これから起こってくるかもしれません。ノーベル賞の向こう側にある景色もまた、かなりの刺激に満ちているのを感じます。

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