こんにちは。ハンカチーフ・ブックスが、新たに歴史小説を手がけました!
タイトルは『遠き海原〜世界都市「江戸」誕生の物語』

日本橋で400年(!)あまり続く扇子と団扇の老舗「伊場仙」の14代当主・吉田誠男さんの記念すべきデビュー作、あの歴史通のアナウンサー・松平定知さんが一読し、「すごい着想、ストーリーが斬新で驚いた」と口にした一冊が、4月14日、刊行の運びとなりました。

きっかけとなったのは、いまから3年ほど前。銀座で開催された吉田さんのお話会に参加した時のこと。
400年続く老舗? 最初はあまりピンと来ませんでしたが、お話しを伺って驚いたのは、初代にあたる人物(伊場屋勘左衛門)が徳川家康の江戸入りとともに三河から移住してきた開拓民だったということ。

太田道灌によって拓かれた江戸ですが、家康が入府した1590年代は、関東の片隅にある、文字通りの田舎町。日比谷のあたりまで海岸線が入り込み、現在にいたる街並みはほとんど何もできあがっていませんでした。
そんな「何もない土地」を切り開き、そこで新たに商売(最初は扇子ではなく、紙や竹を扱っていたと言います)を始めたことが、日本橋の老舗・伊場仙の創業にあたるのです。

伊場仙さんは、この1590年を創業としているため、正確に言うと2015年で425年。通常は、この節目の年に社史を編纂するところかもしれませんが、ハッキリわかっているのは菩提寺の過去帳に記載された祖先の生没年と、吉田家に代々伝えられている次の口承のみ。

「江戸は徳川と三河の人々、そして数名の紅毛人によって拓かれた」

数名の紅毛人とは、史実と照らし合わせるなら、ヤン・ヨーステン、ウイリアム・アダムス(三浦按針)のことでしょう。この二人が江戸の街づくりに関わっていた? どんなふうに? ここから様々な着想が生まれ、小説の執筆が始まりました。
史実をふまえつつ、大胆にストーリーを構築し、コツコツまとめ、そうやって世に出されたのが、『遠き海原』です。

僕自身、内容について最初は半信半疑でしたが、読み進めていくうちにオリジナリティーにあふれ、かなりの意欲作であることがわかりました。いやあ、面白い! 歴史好きの僕から見ても、非凡な着想を感じさせる一冊です。

本がようやく刊行されたいま、吉田さんと一緒に思い描いているのは、日本橋から世界に向けて「江戸」の文化を発信していくということ。今回の本の出版は、そのための最初の一歩であり、書籍の制作と並行させながら、すでにいろいろな形で新しいプロジェクトが進みつつあります。

日本人の生き方が大きく変わろうとしている時代の中、自己のアイデンティティに目覚めるヒントは、近代を剥がした先にある「江戸」という古層に埋まっています。
「遠き海原」に託された知られざる江戸の物語が、一つの作品として楽しんでいただけるのはもちろん、そうした発見の一助になれたらとても嬉しく思います。

 

★ 書籍の詳細はこちら→http://handkerchief-books.com/product/978-4-908609-07-7/

 

●著者プロフィール

吉田誠男 Nobuo Yoshida
昭和23年8月5日、株式会社伊場仙13代目社長吉田源太郎の次男として、東京都中央区日本橋小舟町に生まれる。昭和46年に早稲田大学卒業後、ミノルタカメラ(現・コニカミノルタ株式会社)にエンジニアとして就職、昭和51年に(株)伊場仙に入社、昭和56年同社代表取締役に就任。以後、社業の発展に寄与しながら日本橋の街づくりに参加。 現在は東京・日本橋とロンドン・メイフェアの地域連携プロジェクトにも参画している。趣味は登山。学生時代に山岳部に属し、ヒマラヤ遠征の経験もある。http://www.ibasen.co.jp